ハッカーのホームページ改ざん防止、新システムを開発−−千葉のベンチャー企業

2002.06.11 東京朝刊 2頁 2面 写図有 (全695字) 


 ◇HDDを改良

 ハッカーによる官庁や企業のホームページ(HP)改ざんを防止するコンピューターシステムを、千葉市のベンチャー企業「スカラベ・コーポレーション」が開発した。情報記録用のハードディスク装置(HDD)を改良し、ハッカーによる書き換えを物理的にできなくした。侵入防止ソフトをコンピューターに組み込むのが通常の対策だが、ソフトを改良してもすぐに破られるイタチごっこが続いており、専門家らは「抜本的なハッカー対策になる」と期待を寄せている。

 HDDは、HPなどの情報を記録する磁気ディスクと、情報を読み書きする磁気ヘッドでできている。磁気ヘッドは読み書き両用で、インターネットから侵入したハッカーは、この磁気ヘッドを操作してHPの改ざんなどをしていた。

 一方、スカラベ社が新しく開発したHDDは、情報の読み取り専用と読み書き両用の二つの磁気ヘッドを持っている。ネット経由で操作できるのは読み取り専用の磁気ヘッドだけになるようシステムを組むことが可能で、これならハッカーがシステムに侵入しても、情報の書き換えは不可能になる。ただし、掲示板などによるユーザーとの情報交換はできなくなる。

 官庁や企業がHPの情報を更新する場合は、ネットに接続していない別のコンピューターで、読み書き両用の磁気ヘッドを操作すればいい。新ハードディスクを含めた導入費用も10万円程度という。

 武藤佳恭・慶応大教授(インターネットセキュリティー)は「磁気ヘッドを二つにしたのはコロンブスの卵といっていい発想で、世界的にも例がない」と話している。【河内敏康】

 (この記事には図「ハッカー防止の新システム」があります)

毎日新聞社